REHSEは、本年度、集中セミナー形式の勉強会を催しました。
本勉強会では、大学等研究機関や企業が抱える様々な課題に沿った頭出しとなる講演や、話題提供を行った後にみんなでフリーディスカッションを行いました。
本年度のセミナーは終了しました。来年度も開催見込みです。
詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、奮ってご参加ください。
全4回シリーズ (ご案内(PDF))
第1回 「実験研究におけるリスクアセスメントとは」 (平成28年4月28日 in 東京)第1回内容
第2回 「合理的な実験室計画の考え方」(平成28年7月28日 in 大阪)第2回内容
第3回 「情報・コンテンツの共有と活用」(平成28年10月31日 in 東京)第3回案内
第4回 「創造性と自主的リスク管理のバランス」(平成29年1月26日 in 名古屋)第4回案内
第4回 「創造性と自主的リスク管理のバランス」 (ご案内PDF)
研究の価値を評価する上で、新規性や独創性が重要な指標となることは言うまでもない。新理論の提唱、新手法の提案、新物質の発見といった、これまで誰も行っていないことを初めて見つけ、それを実証することにこそ、研究の価値や醍醐味がある。そこには試行錯誤的な探索もあるだろうし、失敗もつきものである。特に、過去に誰もやったことがない実験では、何が起こるか正確にはわからない以上、そこにリスクが伴うことは必然である。
研究のアクティビティを損なうことなく、安全に研究を遂行するためには、創造性と自主的リスク管理とをうまくバランスさせることが重要である。そのためには、個々の研究者が自分の研究に伴うリスクを正確に理解し、そのリスクに対して適切に対応する能力を備えることが不可欠となる。
世の中には様々な安全基準が存在しており、それら基準の遵守を安全のクライテリアと置き換えた議論がしばしば見受けられる。しかしながら、研究の分野における合理的なリスク管理のためには、単なる基準の盲信ではなく、その基準自体の持つ意味や合理性についてもよく考えておく必要がある。例えば化学物質について「何がどういう状態にあるとどう危険なのか」を、その物質を扱う研究者自身の知識や経験、科学的根拠に基づいて正確に理解し、客観的に評価することができるならば、リスク管理としてはより本質的であると言えるだろう。
第四回の勉強会では、創造性と自主的リスク管理のバランスを考える上で重要となる「許容されるリスク」をテーマとして取り上げ、様々な安全基準が持つ意味や合理性に関する講義の後、実験研究における合理的な許容リスクについて全体討議を行う。
◎講演 「基準値という名の権威」 山本 仁 先生(大阪大学教授)
◎ディスカッション テーマ 「実験室における許容リスクとは」
講師・コーディネーター:大島 義人(REHSE理事長、東京大学 新領域創成科学研究科 教授)
山本 仁(REHSE副理事長、大阪大学 安全衛生管理室 教授)
第4回セミナー詳細
【日 時】
平成29年1月26日(木)13:30-16:30
【会 場】
名古屋大学 東山キャンパス
環境総合館1Fレクチャーホール
【定 員】
応募者多数の場合は先着順で締め切らせていただく場合がございます
【参加費】
会員 3,000円 (非会員は、5,000円)
第3回 「情報・コンテンツの共有と活用」 (ご案内PDF)
実験研究における安全を考える上で、「共有」は一つの重要なキーワードである。例えば、一つの実験室内で複数の実験シナリオが同時に存在する場合、その時間・空間共有による複合的な要因によって、個々のシナリオが発現しないような新たなリスクが生じる可能性がある。また、器具や装置の共有、給排気環境の共有、化学物質や廃液容器の共有など全体の最適化を図る上で、個別の作業環境の最適化だけでは解決することのできない計画上の要因が多数あることも実験室の最大の特徴である。さらに、適切かつ合理的な安全管理体制を構築するためには、どのような情報をどのように共有し、どのように活用するのかといったソフト面での共有についても議論を深める必要がある。第三回の勉強会では、「共有のあり方」をテーマとして取り上げ、実験研究に行ける「共有」に関する現状と課題を整理するとともに、様々な研究が行われる実験室の合理的計画のために、ラボユーザー、事務、安全管理部署、メーカーといった立場が異なるステークホルダーがどのように情報共有し、活用すべきかといったケーススタディーを実習形式で行います。
講師・コーディネーター:大島 義人(REHSE理事長、東京大学 新領域創成科学研究科 教授)
山本 仁(REHSE副理事長、大阪大学 安全衛生管理室 教授)
第3回セミナー詳細
【日 時】
平成28年10月31日(月)13:30-16:30
【会 場】
東京大学 本郷キャンパス
工学部5号館2階 実験講義室(233号室)
【参加費】
会員 3,000円 (非会員は、5,000円)
第2回 「合理的な実験室計画の考え方」 (ご案内PDF)
実験の安全において、実験が行われる場となる実験室のあり方が深く関わることは言うまでもありません。一方で、実験作業の目的や内容によらない万能な実験室を画一的に追求することも現実的ではありません。大学の実験研究では、頻繁な実験目的や実験内容の変更、人数の変動や人の入れ替わり、限られた予算など、さまざまな制約条件があります。また、安全確保のために道具や設備の扱いの中で「やってはいけないこと」や「やってほしくないこと」が多数ある中で、それらの要求が個別かつ独立であるために、結果として実験室ユーザーにとって非合理的な行動を求めている現状も多く見受けられます。
この勉強会では、大学の実験研究ならではの様々な制約条件を前提としつつ、ユーザーの実験が安全かつ快適に行われるための合理的な場のあり方について議論します。
講師・コーディネーター:大島 義人(REHSE理事長、東京大学 新領域創成科学研究科 教授)
山本 仁(REHSE副理事長、大阪大学 安全衛生管理室 教授)
【施設見学会】 希望者には16時半より、産業技術研究所内の耐震フレームシステム等の施設見学会を予定しています。
フレームシステム詳細: 山本 仁, 環境と安全, 5(3), 143-147(2014). 環境と安全HP
第2回セミナー詳細
【日 時】
平成28年7月28日(木)13:30-16:30
【会 場】
大阪大学 吹田キャンパス
産業科学研究所 管理棟 1F講義室
【定 員】
応募者多数の場合は先着順で締め切らせていただく場合がございます
【参加費】
会員 3,000円 (非会員は、5,000円)
第1回 「実験研究におけるリスクアセスメントとは」
本年6月より、労働安全衛生の一環として、化学物質のリスクアセスメントが義務化される。現在、各大学では具体的な法対応のやり方についての検討が急務となっているところであるが、一方で、大学の実験に伴う危険を考える上で、本来の実験研究におけるリスクアセスメントは、作業環境に関わる化学物質の暴露のみを対象とするものではなく、むしろ爆発・火災危険性や腐食性などのリスクに対する評価と対応の方が本質的な問題であるという考え方がある。
教育機関としての大学の役割に鑑み、法対応としてのリスクアセスメントという枠組みを超えて、実験作業における本質的なリスクアセスメントのあり方、安全教育の一環として実施するための具体的な方法についてレクチャーする。
また、このような観点を取り込んで開発された、実験教育現場で簡便に合理的なリスクアセスメントができるREHSE発のツール「山本式リスクアセスメントシート」を使った実習形式のディスカッションも予定している。
講師・コーディネーター:大島 義人(REHSE理事長、東京大学 新領域創成科学研究科 教授)
山本 仁(REHSE副理事長、大阪大学 安全衛生管理室 教授)
【当日の様子】
当日は大学、研究所、企業からなど40名近くの参加者がありました。大島講師から「実験研究におけるリスクアセスメントとは」とうタイトルで、大学におけるリスクアセスメントの現状について、山本講師から「大学にフィットした合理的な化学物質リスクアセスメントの検討」というタイトルで、大学の実験研究現場で実施するリスクアセスメントのポイントおよび大阪大学における実施予定内容についてお話しいただきました。お二人の講演の後には、実際に学生実験で行われている有機化学実験のテキストを題材にして、「学生」の立場でリスクアセスメント、「指導教員」の立場でそれをチェックするという演習を行いました。参加者からは、他大学のリスクアセスメントの実施状況や大学と工場で行っていることの違いが分かったこと、また多くは実際にリスクアセスメントを演習したことが大変有意義だったとの声が上がりました。
第1回セミナー詳細
【日 時】
平成28年4月28日(木)13:30-16:30
【会 場】
東京大学 本郷キャンパス
工学部五号館2階 実験講義室 (233A号室) 会場のご案内
【定 員】
30名(応募者多数の場合は先着順とします)
【参加費】
1回参加 3,000円 (非会員は、5,000円)
(全4回参加の場合は特別価格:10,000円(非会員は、16,000円))
【お問合せ】
REHSE事務局 E-mail: jimukyoku@rehse2007.com