設備の維持管理や定期点検を効率よく、低コストで行うためのヒント
【定期自主検査を実施しましょう】
急なトラブルを回避するためには、予防保全を行うのが一番の近道です。
法令で定められている「定期自主検査」(1年以内に1回)を行うのが最善であり、だからこそ法令で決められているのです。
自主検査の具体的な方法の指針も簡単に入手することができます。
専門的な知識がなく、組織内に対応できる人材がいない場合は、研究・実験設備の点検やメンテナンスを行っている業者に依頼することもできます。
【設備の状態をきっちり把握!】
「局所排気装置」は、室内に設置されているフードだけでなく、ダクトやダンパ、排気ファンや排出口など一連のシステム全体のことを指しています。
自分達の実験室のダクトのルートや排気ファンの場所を知らないという組織は驚くほど多く存在しています。建物の竣工図を持っていても、施工がその通り行われているとは限りません。
ヒュームフードの排気が突然止まったら、どこを確認すれば良いのか知っていますか?
定期自主検査を専門業者に委託する際に、設備の状態が把握可能な資料作成も依頼すると良いでしょう。
【業者への発注コストを下げるコツ】
検査を業者に依頼する場合、コストのうちで大きな比重を占めているのは人件費や交通費などの間接経費です。
一日に点検してもらう局所排気装置の数を増やす、一日で終わらない場合は集中した数日間で依頼するなど、とにかく「まとめて依頼する」ことがコスト削減に繋がります。
大学の場合であれば、研究室単位ではなくグループで、建物単位で、部局で、学部で、全学で、と「まとめる」ほどコストは下がります。
取りまとめを行う部署を決める必要はあり、手間もかかりますが、一度形ができれば入札で業者を選定することも可能になります。
【自前で検査する】
定期自主検査という言葉のとおり、自分達で検査を行うことも可能です。やり方が全く解らなければ、最初は専門業者や労働衛生コンサルタントに講習を依頼するのも良いでしょう。
実際に自組織内で研修制度を構築して、自分達で定期自主検査を実施しているところもあります。
点検に使用する測定器類は高価で、定期的な校正も必要であるため、共通利用するのが現実的です。
自分達で行えば、実施者の人件費と測定器類の維持管理費がかかるだけになります。
修理を自分達で行うのは大変なので、修理だけは専門業者に依頼すれば良いのです。
【検査結果のデータを活用する】
定期自主検査を行ったら、結果をしっかりデータ化して活用しましょう。点検の結果で修理や部品交換を行った履歴も大いに活用しましょう。
例えば、排気ファンのベルトを交換してから次に交換が必要になるタイミングはいつなのか、など管理するためのデータが取れれば業者の言いなりになることを避けることができますし、交換してから直ぐに切れた場合には、クレームをいれることもできます。
設備の劣化は、通常は取扱い方の良否と運転時間に依存します。個別の機器の運用状態によって、必要な手当ても異なってきます。また、機械には特有の「クセ」が出ることもあります。点検結果を積上げてデータ化して活用することで、安全性の向上とコストダウンをはかることができるのです。