VICRiに関して注意事項と開発の目的

研究機関での化学物質ユーザーへのアンケート調査等を踏まえ、 載せる情報量を絞り込むことで情報の羅列と閲覧者の飽きを防ぐこと、
危険性を簡易に表現し、定量的に確認できるような可視化した図を作成すること、通常の情報サイトでは収集しにくい事故情報や具体的な
管理指針を載せること、に着眼した新規情報サイトの作成を行ったものです。

■危険有害性情報の簡易表示について
危険有害性を可視的に且つ定量的に把握できる図表示を目指し、このサイトではレーダーチャートの方式を採用することで危険性の指標を
ランク付けし、定量的に危険性が分かるような工夫を行いました。危険有害性情報として、表示する指標は下記の6点です。
・人体への有害性を示す指標として:「急性毒性」、「慢性毒性」、「刺激性」
・環境中への毒性指標として:「環境毒」
・物理的な反応危険性として:「反応性」
・曝露のしやすさの指標として:「揮発性・飛散性」
それぞれの指標に対しては定量値として、1~5段階でその程度を値付けを行っています。
定量のための指針として、GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:化学品の分類および
表示に関する世界調和システム)の表示区分を用いました(揮発性に関しては物性値から特定)。
各危険性項目と定量値の対応は「定量指針の説明」に示しています。

■事故情報について
その化学物質が原因で起きた事故情報の一例を化学物質単位で表示しています。事故情報は情報量の多さから自分の関係する情報をうまく
ピックアップすることが難しいものですが、化学物質単位での表示が行えれば、この物質使用者にとっては全て関係する情報となるために、
情報の選定が極めて容易になります。また、Web上でも取得できる労働災害レベルの大規模事故の情報に加えて、研究機関等で起きている
初歩的な事故やヒヤリハットも活用しました。
これは、被害の大きなものだけでなく、「保護めがねの未着用のために目に刺激薬品が入った」、などの初歩的なものも載せることで日常的に
取り扱う際の注意を喚起するためです。
本システム中に内蔵されている事故情報は化学物質が関連して実際に起きた事故、事件を元にして、一般化したものを載せています。
そのため、全ての化学物質に事故情報が載せられているわけではありません。

■管理指針について
管理指針には、実際の取り扱いにおいて、予防対策や、保管や使用、届出報告などに際して、具体的な管理方法を載せています。
MSDSでの情報と、実際の法令情報を元にしています。
VICRiに載せている法規は国内の全ての法規を網羅しているわけではありません。
2012年夏の段階における、以下の法規に関して載せたものです。
・消防法:危険物第1類から第6類について記載しています。指定数量の0.2倍以上の保有は申請が必要であることから、「貯蔵」の項目に上限
として指定数量の0.2倍の値を記載しています。ただし、この値は単独で保持している場合の上限値ですので、ご注意ください。
また、指定量以上の保有には届出が必要なことから、消防活動阻害物質についても記載しています。
・毒物及び劇物取締法:特定毒物、毒物、劇物について記載しています。「貯蔵」と「使用」の項目にはこの法規に基づいた管理も記載しています。
・PRTR制度:化管法のPRTR制度における第一種指定化学物質について記載しています。調査・報告の対象となるものを記載しているので
第二種に関しては載せていません。
・労働安全衛生法:有機則、特化則、製造禁止物質について記載しています。「名称等を通知すべき有害物」については載せていません。
有機則、特化則については作業環境測定に関しても「使用」の項目に記載しています。
薬事法、農薬取締法その他の法令に関してはVICRiでは表記していません。特に東京都環境確保条例などに代表される
各自治体が独自で指定している法規、制度に関してはこのVICRiには法規として載せていないのでご注意ください。

■物性値について
以下の物性値を参考までに表示しています。ただし、情報の取得ができなかったものは「データ無」と表記しています。特に断りがなければ20℃条件
での値を記載しています。この物性値は参考として表示しているものです。使用の際は自己責任において使用してください。
・形状
・分子量
・臭い
・融点(℃)
・沸点(℃)
・引火点(℃)
・発火点(℃)
・比重