1-1.局所排気装置の目的と種類

実験・研究操作においては、様々な化学物質や危険物質が使用されます。また、これらの物質の反応や複合による新しい物質の発生の可能性が常に伴います。これらの物質はガス状・粒子状など様々な形態で飛散する可能性があり、人体に影響を与えたり、与えうる可能性がある危険性から、作業している人や作業している場所にいる人達を保護する必要があります。

この様な装置は一般的に「局所排気装置」と呼ばれています。
有害物の発生源の近くに空気の吸込み口を設けて常に吸引する気流を作り、有害物がまわりに拡散しないようにして作業者が汚染された気流に暴露されないようにする装置の総称が「局所排気装置」です。
局所排気装置には様々な種類があります。
(図1-1a.参照)

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局所排気装置のうち、スロット形状や天蓋フードなどの「開放型のフード」の場合は、周囲に吸引を邪魔する気流があれば効果が妨げられてしまいます。
また、発生物質の吸引に役立つ気流は、フードに流れ込む気流の一部でしかないため、必要以上の排気風量を必要とします。

「囲い式」の場合は作業に必要な前面のみに開口があり、その他の部分は囲まれている形状なので、フードに流れ込む気流の大部分が有害物質のコントロールに役立つことから、排気風量を有効に利用することができます。

実験・研究操作を行う場合は、作業を行うための適切なスペースが必要なのに加え、作業を行うための電源、燃焼ガス、特殊ガスなどの各種ユーティリティーの供給が必要となります。また、物の出し入れや薬品の飛散・突沸などから作業者を守るための防護壁として、前面に可動式のガラスサッシを設けるのが一般的です。

このような実験・研究操作に特有の機能と囲い式フードの形状を備えたものが、一般的に「ドラフトチャンバー」と呼ばれています。


実験室用の局所排気装置にも様々な種類の物があります。
発生源の近くからスポット的に吸引するもの、少し離れた場所から吸引するもの、発生源を覆う形状のものなどがあり、これらは取扱う薬品の危険性や用途に応じて選定する必要があります。
(図1-1b.参照)
ドラフトチャンバーは主に「囲い式」に分類されます。

参照:実験室用局所排気装置の分類表1-1a.

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表1-1a:実験室用局所排気装置の分類

封じ込めレベルについて
封じ込め(containment)とは、密閉装置や局所排気装置においては、危険物質を内部に閉じ込めて外部に出さないようにする機能を指し、その程度は機器によって差がある
当委員会では一つの目安として局所排気装置に対する封じ込めの程度を「封じ込めレベル」と称して以下の5段階に分類した

レベル 5 :極めて高い気密性と封じ込め性能および装置性能を有する作業に使用される装置
レベル 4 :高い気密性または隔離性を有する作業に使用される装置
レベル 3 :有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則で規定されている薬品や、作業環境中に拡散すると問題が生じる可能性がある薬品の取扱いに使用される装置
レベル 2 :上記には対応しないが作業環境中に拡散すると問題が生じる薬品等の取扱いや環境改善のために使用される装置
レベル 1 :臭気等が作業環境中に拡散しないように局所的に使用される装置。

実験室における
局所排気装置の基礎知識
〔目次〕

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