表2-4a. ANSI/ASHRAE110規格による評価方法


ASHRAE(米国加熱冷却空調学会)が作成しANSI(米国規格協会)が認めているANSI/ASHRAE110規格“Method of Testing Performance of Laboratory Fume Hoods” 「実験用ヒュームフードの性能試験方法」による評価方法で、「実験用ヒュームフードが有害ガスをどれだけ効果的に封じ込めるかを数量的および質的に評価する」ことを目的としています。 テスト用のガス(トレーサーガス)にはSF6(六フッ化硫黄)の純ガスを使用し、実際の使用状態に近づけるために作業者を模したマネキンを設置して測定を行うのが特長です。 ASHRAE:American Society of Heating,Refrigeration and Air Conditioning Engineers Inc. ANSI:American National Standards Institute

規格の位置付け

ヒュームフード固有の封じ込め性能を評価するために、
・製造時試験(AM:As Manufactured)
・設置後使用前試験(AI:As Installed)
・使用時試験(AU:As Used)
の3つの段階で性能レベル表示ができる様になっています。

テスト時の主な条件

1.トレーサガス濃度: 
  ・SF6 純ガス(99.97%以上),  発生量は4ℓ/min
2.試験室の条件
  ・フードの手前1.5mにおいて干渉風 は面風速の30%以上
  ・テスト室は-5Paに維持
3.テスト時のサッシ開口高さ
  ・設計開度(使用時開度)

評価項目(テスト内容)

主として以下の3つの試験によって総合的に封じ込め性能を評価します。

  • 1.面風速測定
    • ・開口部を一辺が305mm以下の格子に区切って各中央部で風速を測定します。
    • VAV制御の場合はVAV反応試験が追加されます。
  • 2.トレーサガス試験
    • 以下の三種類のテストを行います。
      •  ①定位置における試験
      •   ・決められた左・中央・右の3位置にトレーサーガス発生器とマネキンを設置して呼吸域における漏洩濃度を測定します
      •  ②サッシの移動効果
      •   ・定位置においてサッシを開閉し、サッシ動作の影響による漏洩濃度を測定します
      •  ③走査試験
      •   ・定位置においてマネキンを撤去し、検知プローブで開口部周囲の漏洩濃度を走査測定します
  • 3.気流可視化(スモーク)試験
    •  ・開口部周囲や内部においてスモークを発生させて確認します。





定位置による測定(中央)における測定例