いくつか工夫をご紹介します。
少しの工夫が、皆さん自身の安全確保につながります。
参考になるものがあったら、あなたの実験室でもお試しください。
(ただし、震度5強以上の激しい揺れに対しては効果が見られない場合があります。)
(1)避難口の確保 についてはこちら
(2)避難路の確保 についてはこちら
(3)万が一への備え についてはこちら
(1)避難口の確保
実験室からの避難口は2か所以上あることが好ましいです。
せっかくの出入り口に物を置いてつぶしてしまうなんでとんでもない!!
消防隊進入口(非常用進入口)も同様です。
いざという時、ちゃんと扉が開くように整理整頓しておきましょう。NG:ドアの前に機器
NG:ドアの前に椅子
NG:消防隊進入口の前に機器
移動可のものでも(この程度なら一応進入可ですが)
とっさの時につっかかる可能性があります非常用進入口:火災等緊急時に、消防隊が窓ガラスをたたき割って進入することができるように設置されているもの。赤い▼のマークが貼られた窓等が該当する。はしご車を使って進入することを想定し、3階以上の階(高さ31m以下)で設置が義務付けられている。
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(2)避難路の確保
通路にたくさん置かれた段ボールや機器類。避難しようとしたら、足元でつっかかり、後ろから来た人も将棋倒しになる・・・・そんな危険があります。
まず、安全通路が確保できるように、テープを床に張るなどして、ここから飛び出して物を置かない、というルールをつくるとよいでしょう。
棚の上に置かれたものが降ってきて頭を直撃、棚から薬品やガラス器具が落下して辺り一面ガラスの破片だらけ、さらに薬品同士が反応して火災に・・・・そうなったら大惨事です。
基本的に棚の上(天板の上)には物を置かないのがよく、特に重量物は禁物です。ほかの場所を探しましょう。
「古くなった機器をまだ直せば使える」と言って取っておくことがよくありますが、メーカー側は一定期間を過ぎると部品を作らなくなってしまうので、いざ使おうとしたら使えない、ということもよくあります。遊休品は定期的に見直して、処分することも考えましょう。
アングル棚など扉のない棚に段ボールを置くことがありますが、支柱間をチェーンがけしておくと、飛び出すことがありません。もちろん段ボールを重ね置きしてしまうと効果はありません。NG:棚の上の段ボール
NG:落下防止の棒はありますが、
物の高さに比べて低いので、効果低いでしょうOK:前面にアクリル板をはめて、前方への転倒防止を工夫
OK:揺れで引き戸があいてしまわないようにテープ止めの工夫
薬品やガラス器具の落下防止には、
・コンテナに入れて棚に収める
・滑り止めシートを敷いてそこに並べる
などの方法があります。
薬品がぶつかり合って割れるのを防いだり、万が一落下しても被害を小さくするには
・薬品に保護ネットをかぶせる
という方法があります。コンテナに試薬やガラス器具を入れて
棚に収めるとよい滑り止めシート
OK:薬品に保護ネットをかぶせて試薬庫へ入れる
びん同士がぶつかっても割れにくいOK:実験台の上のガラス器具をかごに入れて転倒防止の工夫
整理整頓もしやすい
また、棚ごと倒れてくることを防ぐには、
・壁にアンカー打ちして固定する
・天井の低い居室等の棚なら突っ張り棒をはめる
などの方法があります。OK:棚を壁にアンカー打ちして固定
突っ張り棒
ボンベ架台もアンカー打ちして固定しておきましょう。
アンカー打ちが禁止されている部屋の場合、耐震ジェルを敷くだけでも効果があります。
また、ボンベ架台の中でボンベが揺れるのを防ぐには、
・ボンベの底に耐震ジェルを敷く
・チェーンとボンベの間にくさびを打つ(三角の木片などをはめる)
・チェーンでなくベルトでとめる
と効果があります。OK:アンカー打ちできない部屋では、
ボンベ架台の下に耐震ジェルを敷く工夫耐震ジェル
耐震ジェルや滑り止めシートは、レコーダーなどの機器の落下防止にも効果があります。
耐震ジェルは使いやすいのですが、耐用年数は5年ほどなので、時々チェックし、劣化していたら交換しましょう。
棚の扉にガラスがはめてある場合、防犯フィルムを張ってガラスが割れるのを防ぐ方法もあります。防犯フィルム
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(3)万が一への備え
万が一に備え、緊急連絡先が部屋のよく見える位置に表示してあるか、消火器はどこにあるか、消火器の点検はされているか、非常口付近に物が放置されていないか、などもチェックしておくとよいでしょう。OK:出入り口付近のよく見える場所に、緊急連絡先の表示
OK:消火器のある場所に表示があり、
定期点検の記録がある工夫一覧にもどるわ