2-3.排気風量

排気風量を正しく設定することは、維持すべき制御風速を保つことにもなります。 排気風量はヒュームフードの形状や制御方法によって異なる場合があります。作業の目的や操作に適しているかどうかを確認するためにも、最大の作業開口高さとその時の排気風量をメーカーのカタログであらかじめ確認しておくべきです。

必要な排気風量は制御風速と作業開口面積(有効作業幅×作業開口高さ)で変わりますが、実際には、この他に安全率を考慮する必要があります。 また、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)において制御風速が決められているため、注意が必要です。(図2-3a.および図2-3b参照)

参照:排気風量の計算方法 資料2-3a.


図2-3a.局所排気装置の制御風速

●印は、フードの開口面をそれぞれ等しく、かつ一辺が0.5m以下となるように16以上(ただし、フードの開口面が著しく小さい場合この限りない)の部分に分割した各部分の中心点であり、吸込み気流の速度を計測する位置を表しています。 各点における測定値の最小値が有機則では0.4m/s以上、特化則では0.5m/s以上とされています。


図2-3b.プッシュプル型換気装置の制御風速

密閉式プッシュプル型換気装置の性能は、捕捉面における平均前面風速は、0.2m/s以上で、かつ、各風速測定値が平均風速値の±50%以内の一様性があることとされています。 上図の様な水平気流・立ち入りなしタイプも密閉式プッシュプル型換気装置として認められており、形状は局所排気装置と同じ形状となっていますが、補足面の解釈等で労働基準監督署によってはヒュームフードをこの形式と認めない場合もあるため、注意が必要です。

適切な制御風速を維持するということは、排気風量を一定に維持するということになります。
必要な排気風量を常に維持できる状態にしておくことはとても重要なことです。
関連する項目として「9.保守と点検」を参照してください。





排気風量は多ければ良いわけでもありません。多すぎる排気風量は、流入風速を早くし過ぎて乱流を発生させたり、作業に悪影響を及ぼすことになります。 一方で、可変風量(VAV)制御などで排気風量を低下させる場合において、排気風量をどこまで下げて良いかについても正しい検討が必要です。


参照:実験中の最低必要風量 資料2-3b.

排気方式にはいくつかの種類があります。ヒュームフードの機種によっては、排気風量が一定ではなく、特定の制御機能が組込まれたものもありますので、注意が必要です。また、実験室の空調設備や給気や換気との関連性もありますので、設備の状況を認識しておくか、認識している人にあらかじめ確認しておくことが必要です。



最も単純な排気方法は、排気ダクトを通じて排気ファンで直接排出する方法です。通常、風量の調整はダクト途中に設置した「風量調整用ダンパ」で行います。
この他に他の部屋と排気を共有したり、何らかの制御を適用する場合もあります。
関連する項目として「4.排気設備と換気設備」を参照してください。