排ガス処理装置には、大きく分けて湿式 または乾式があります。湿式は、薬液や水を循環して充填材と呼ばれる部分にスプレーして気液接触でガスを洗浄する方式です。乾式は活性炭などを用い、液を使用することなく吸着で除害を行う方式です。方式の違いによって、点検の内容も異なります。
排ガス処理装置がご自分のヒュームフードに組込まれていくことが認識されていないケースも多々あります。排ガス処理装置は屋外に置かれている場合と、ヒュームフードの近くまたは内部に組込まれている場合があります。何らかの排ガス処理装置が存在する場合、必ず保守・点検対応が必要になります。
湿式のスクラバーは、循環する液を貯めておくタンク・液を循環するためのポンプ・洗浄部の充填材・洗浄後のミストを取るミストセパレーターなどから構成されています。 これらの部分が正しく調整されているか、動いているか、といった日常的な点検が必要になります。
特に性能面では、洗浄するための液の状態が重要となります。薬品を投入する必要が有る場合は、日常的にpH値を確認する必要があります。 (図7-4a.参照)
湿式のスクラバーが組込まれたヒュームフードは、そうでない物に比べて排気静圧(排気に必要な空気の抵抗値)が高くなります。スクラバーを運転しないで排気を行うと、排気風量は増えてしまいます。そのまま使用し続けると、充填材にホコリやゴミが詰まって行き、今度はやがて詰まって排気風量が落ちてしまいます。どちらも正しい運転状態ではありません。適切に作動させて、適切に保守・管理することが、安全上最も重要です。
乾式の排ガス処理装置には吸着剤が充填されています。吸着剤には、吸着して保持できる薬品の重量に限りがあります。内部に充填されている吸着剤の重量を確認しておき、排出される薬品の量に対してどの程度の時間使用することができるか、あらかじめ目安をつけておくべきです。 吸着剤は、定期的に交換すべき消耗品であることを認識しておきましょう。 (図7-4b.参照)
吸着剤にホコリやゴミなどが付着していくと、目詰まりを起こして排気風量が低下してしまいます。これを防ぐために、手前に粗塵吸着用のプレフィルターが装備されているのが一般的です。 ところが、このプレフィルターを定期的に清掃しないと、同じように排気風量が低下してしまいます。ヒュームフードの排気が引かないというトラブルの要因として良くある事例なので、気をつけておきましょう。