排気をする上で最も重要な装置は、排気ファンです。しかし、排気ファン(排風機)の状態を定期的に確認している現場は、驚くほど少ないのです。
(図7-5a.参照)
ヒュームフードなどの局所排気装置の具体的な保守・点検対応としては、日常的な点検から専門業者による保守作業に至るまで、様々なものがあります。
日常的に必要な点検、定期的に必要な点検、注油やベルト交換など定期的に必要な対応、清掃や部品交換が必要な保守作業など、レベルに応じた計画や対応をお奨めします。
参照:保守点検のレベル別対応例 表7-3a.
保守・点検には組織的な対応が必要です。
個別に対応していくよりは、設備全体を把握して計画的に対応していく方が、時間もコストも節約することができます。
日常的に清掃や点検が行われている設備は、当然のことながら長持ちします。
不慮の故障や事故で大きな損害を被る可能性も低くなります。
適切な点検が行われていないと、排気風量が低下し、流入風速が低下して、適切な封じ込め性能を維持することができなくなります。
例えば、排気ファンの軸受けを例に取ってみます。高速回転するモータの回転軸を支える軸受けは、消耗品であり定期的な交換が必要です。
定期的に点検をしていれば、振動の発生状況から交換の目安が付きます。
点検も交換もせずに放置しておくと、いつしか排気ファン自体の故障に繋がります。
軸受けのみの交換で済むはずが、排気ファン自体を交換するといった対応を余儀なくされます。また、性能低下により長い期間を不十分な性能で使用することになり、最悪は実験中に急停止してしまうことになります。
ヒュームフードや排ガス処理装置の必要点検部位や、使用されている部品のライフサイクルを把握しておくことが重要です。
部品の交換時期は、装置の稼働時間や使用状況によって異なります。
一番良いのは、実際に対応した点検や保守の記録を残しておくことです。
部品を交換した場合は、その使用期間を記録しておくべきです。
ヒュームフードと、排気ファンや排ガス洗浄装置などの必要な機器類に使用されている部品の一般的な寿命や交換時期を、ある程度把握しておくことも必要です。
参照:主な部品の交換期間 表7-3b.